重松清さんの「かあちゃん」


重松さんの作品を読む度に思うことですが
痛くて厳しいです…でも読み終えた後、
必ず温もりを感じさせてくれる。

本作「かあちゃん」も例外なく厳しい作品でしたが
エンディングでは、
微かな希望が芽吹いたように感じられました。


『母ちゃんな…笑い方、忘れてしもうた」

親友をいじめた。
誰からも助けてもらえなかったあいつは
自殺を図り、学校を去った。

残された僕たちは、それぞれの罪を背負い
罰を受けて、一人の年老いた「かあちゃん」に出会った…。
~帯紙より~


各章ごとに語り部が変わることで
ひとつのエピソードが、それぞれの視点で描かれることに

交通事故の加害者家族と被害者
いじめられ自殺を図った少年と、
その少年を自殺を図るまで追い詰めた少年たち
そしていじめを傍観していたクラスメイト
いじめに気付かなかった教師…

正直読んでいて辛い物語でした。
最後に微かな希望の兆し?
それでも起こった出来事の辛さは変わらない
そんな厳しい物語でした。



かあちゃん

内容紹介(「講談社BOOK倶楽部」より)

お母ちゃんは、笑うことを禁じた。
死んだお父ちゃんの罪を、一生背負うために――。

同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、
生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。

いじめの傍観者だった日々の焦りと苦しみを、
うまく伝えられない僕。

精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、
言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。

著者が初めて描く「母と子」の物語。


『おふくろが、ものも言わずに、
 一心不乱に家族の写真をちぎっていく。
 家族三人の笑顔は、もう貼り合わせることもできないほど、
 小さなかけらになってしまった。』(本文より)



本作「かあちゃん」を手にしたのは
HMさんからのコメントがきっかけでした。

私が「かあちゃん」を読んでいる最中に
HMさんのブログに「かあちゃん」の記事をUPされていて

そこで読後の気持ちを
ヒリヒリすると表現されており
正しくそうだなと思った次第です。
http://0901988.blog.fc2.com/


私も1頁目から最後まで、ヒリヒリしながら読みました。


「かあちゃん」を読みながら頭に浮かんだ歌
さだまさしさんの『償い』
この曲を初めて聴いた時、涙が溢れ出て止まらなかったです。

     

 「償い」作詩・作曲:さだまさし

月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた

人殺し あんたを許さないと 彼をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣き乍ら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった
 
それから彼は人が変わった 何もかも
忘れて 働いて 働いて
償いきれるはずもないが せめてもと
毎月あの人に仕送りをしている

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ 泣き乍ら走り込んで来た
しゃくりあげ乍ら 彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えてようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

「ありがとう あなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました
だから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもう あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」
 
手紙の中身はどうでもよかった それよりも
償いきれるはずもない あの人から
返事が来たのが ありがたくて ありがたくて
ありがたくて ありがたくて ありがたくて
 
神様って 思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの
やさしい人を許してくれて ありがとう
 
人間って哀しいね だってみんなやさしい
それが傷つけあって かばいあって
何だかもらい泣きの涙が とまらなくて
とまらなくて とまらなくて とまらなくて





テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
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