長野まゆみさんの「冥途あり」


東京の下町で生まれ
文字職人として生きた父
その人生で語られなかったこととは?

父の死から始まる
家族のルーツを辿る娘の旅/span>
~「帯紙」より~




冥途あり

内容(「BOOK」データベースより)

川辺の下町、東京・三河島。
そこに生まれた父の生涯は、
ゆるやかな川の流れのように
つつましくおだやかだった―。
そう信じていたが、
じつは思わぬ蛇行を繰り返していたのだった。

亡くなってから意外な横顔に触れた娘は、
あらためて父の生き方に思いを馳せるが…。

遠ざかる昭和の原風景とともに
描き出すある家族の物語。




とうとうこういう言葉の登場に
僕の読むことが間にあった。
―吉増剛造―

この作品で長野さんは
新しい境地を切り開き
自由な書きぶりの豊かさを見せてくれた。
本当に魅力的な作品。
―松浦寿輝―


第43回泉鏡花文学賞
第68回野間文芸賞受賞


読み始めて、いつもの長野作品と違う?
耽美的な少年愛
妖艶で摩訶不思議な物語
私にとっての長野作品は
どちらかというとこのイメージ


本作「冥途にて」は淡々とした語り口で
ありし日の父の面影を
娘の目線で語っている
娘が知らなかった父の過去
一九四五年ハ月六日の朝
疎開で父は広島にいた


全体としては軽い語り口で
長野さんの綴る粋な言葉が心地いい
でもその言葉の中に
所々に心に重くのしかかるような
心に突き刺さる描写が…
戦争の悲惨さを伝えるその言葉は
私が今までに読んだ原爆投下直後の描写の中でも
心に迫って来たように思う

言葉の持つ力に、その凄さに
あらためて気づかされた作品でした。



テーマ : 最近読んだ本    ジャンル : 本・雑誌
 2016_12_13





【「八月六日上々天気」ー忘れてはいけないこと】は
2014年2月22日にUPした記事ですが

今日が終戦記念日ということと
8月9日の記事で、原爆投下による長崎の被害状況は載せましたが
広島の被害状況を載せていなかったので
ヒロシマの8月6日に触れなくてはとの思いで
「八月六日上々天気」ー忘れてはいけないことを、再UPします。





【「八月六日上々天気」ー忘れてはいけないこと】

長野まゆみさんの「八月六日上々天気」です。

12年前の八月六日に読んだ本です。
当時の読書日記に残した私の言葉。



昭和十六年、女学生珠貴にとって、
少女の目を愉しませる贅沢品が消え、
友人が軍人の妻となってゆく時代が始まっていた。

珠貴自身も、従弟の担任教師である市岡と見合いし、
慌しく結婚する。

夫の突然の兵役志願。
そして夫の実家である広島への疎開。

暗い時代の流れの中、次々と消えてゆく人と風景、記憶。

ささやかな幸福を愉しむ時をも惜しむように、
時は昭和二十年を迎えていた。

そして八月六日…。

昭和二十年、運命の日、従姉弟は…。

「今日広島へ行ったら、そこで写真を撮るといいのよ。
 あそこの街は、まだ焼けてないんだもの…」



『8月6日の今日読んだ…。
 日常がある日突然切断されてしまう。
 この本は、その悲しみを伝えてくれる…。』 



正直、細かい内容は忘れてしまった部分もあるけど
史郎と珠貴の淡い恋心が描かれていたのは覚えていて
それがまた切ないですね。


八月六日上々天気 BOOK

内容(「BOOK」データベースより)

昭和二十年八月六日。

広島の空は雲ひとつない快晴だった…。

結婚、夫の出生、広島への疎開。

暗い時代に運ばれてゆく女学生珠貴と
その従弟の史郎の運命と、生活を色どる
ささやかな幸福を描く中編力作。




ふと、1988年に日本テレビで放送されたドラマ
「明日」を思い出しました。

8月8日、原爆投下前日の、長崎の人々の
平和な日常生活を描き、原爆投下の光で終わる。

大竹しのぶさんが演じていた出産直後の母と子
聖母マリアのような眼差しで我が子を見つめる母、
そこに眩しい光が二人を包み込む…。
そこでドラマは終わるのですが
その後を思うと涙が溢れ出て止まらなかったことを
今でも覚えています。

原爆の悲惨さを
日常を描くことで
伝えきったドラマでした。





下記の記事は、広島市のホームページより引用しました。

【死者数について】
被爆当時、広島には約35万人の市民や軍人がいたと考えられています。
これは、住民、軍関係者、建物疎開作業に動員された
周辺町村からの人々などを合わせた数字です。
当時日本の植民地だった朝鮮、台湾や、中国大陸からの人々が含まれ、
その中には強制的に徴用された人々もいました。
また、少数の、中国や東南アジアからの留学生や、
アメリカ軍捕虜などの外国人も、含まれていました。

原爆によって死亡した人の数については、現在も正確にはつかめていません。
しかし、放射線による急性障害が一応おさまった、
昭和20年(1945年)12月末までに、
約14万人が死亡したと推計されています。

爆心地から1.2キロメートルでは、
その日のうちにほぼ50%が死亡しました。
それよりも爆心地に近い地域では
80~100%が死亡したと推定されています。
また、即死あるいは即日死をまぬがれた人でも、近距離で被爆し、
傷害の重い人ほど、その後の死亡率が高かったようです。


http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1111637106129/
詳細は、上記のURLをクリックして、
広島市のホームページへご訪問下さい。




戦後70年、その間私たちの国で戦争は起きていません。
それは平和憲法の力だと私は思っています。

安保関連法案を押し通そうとしている人たちは
その大切な憲法をも変えようとしている

私は安保関連法案にも
憲法改正案にも断固反対です!





テーマ : オススメの本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2015_08_15




長野まゆみさんの「ささみみささめ」


「ささみみささめ」とは?
面白い響きの言葉ですね。

短編集である本書の1話目のタイトルにもなっていて、
本文中で
『…身内にだけ通用する隠語である。
 これから、内緒話をするぞ、という合図なのだ。』
と説明している。


『色とりどりの白昼夢』~帯紙~
25篇の不思議な物語


読み始めは、エッセイ集のようでしたが
読み進めるうちに、なにやら不穏な空気感が漂ってきて

“ブラックユーモア?”
“背中をつららで撫でられたよう”
そんな気持ちにさせてしまう物語なのかなと思えば

“ビックリしたり”、“ほろりとさせられたり”と
様々な色合いを持つ万華鏡のような物語の数々に
ホント唸らされました。

何処にでもある日常のひとコマを
こうも心情豊かに描けるのか_。

短い物語で、これだけの複雑な気持ちにさせてもらえるとは
言葉の魔術師?長野ワールドに迷い込んで
また抜け出せなくなりました。



ささみみささめ

内容(「BOOK」データベースより)

日常のなにげないひとこと。

その言葉をふと拾ってみれば、
酩酊をさそう25の物語がゆらりとあらわれる。

不気味な話、怖い話、しみじみする話、苦笑いする話、不思議な話、にやりとする話、
呆然とする話、あざやかな話、びっくりする話、泣ける話、笑うしかない話、感動する話…。

百花繚乱!長野まゆみワールド。



今までに読んだ長野作品とは、
少し毛色が違うのかなと感じましたが…

恩田陸さんの本?と思って
読んでいる最中に著者名を確認したりね^_^;

でも最後まで読み終えたら
“長野さんらしさ”が、隠し味のように効いてきてきましたよ。







テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2014_07_10





長野まゆみさんの「鳩の栖」と「紺極まる」


昨日に引き続き、長野さんの作品を紹介したいと思います。


長野作品のもつ、静謐で流麗な文章世界ここにあり!
言葉の美しさが醸し出す香りを、どうぞ御堪能下さい。


「鳩の栖」は五編からなる短編集で、
その中の後半二編、『紺碧』と『紺一点』の続編が
「紺極まる」にあたります。


まずは「鳩の栖」の五編

・『鳩の栖』
 表題作。
 雨音のはざまに響くその音に、病床の少年はなにを思うのか。
 「きみにも、叫びたくなることがあるの?」
 「…あるよ。この頃はとくに。」

・『夏緑蔭』
 「知っているよ。僕はいつも此処から君を見てた。
 こっそり隠れて。
 祖母と君の母さんが墓参りをしているあいだの御守り役さ。
 声はかけない約束だった。」

・『栗樹』
 「瓜はめば 子等思ほゆ 栗はめば 況して偲はゆ」 
  (山上億良)

・『紺碧』
 両親をはやくに亡くし、姉も亡くなったことで、
 義兄と二人暮らしになってしまった主人公。

・『紺一点』
 『紺碧』の続きです。
 「浦里は、おふくろよりも始末悪いや。」「なんで?」
 真木はそれに応えず、腰高の露台へ乗り出して、
 濠端をながめている…。


鳩の栖 BOOK

内容(「BOOK」データベースより)

水琴窟という、
庭先に水をまくと珠をころがすような安らかな音が鳴る仕掛け。

操がそれを初めて知ったのは至剛の家の庭だった。

孤独な転校生だった操を気遣ってくれた爽やかな少年至剛。

しかし、快活そうに見えた彼には、避けがたい死が迫っていた。

病床の至剛の求めるまま、操は庭の水琴窟を鳴らすのだが…。

少年たちの孤独と淡い愛情、
儚い命の凛々しさを描く表題作など珠玉の短編五編。




「紺極まる」の三編

・『紺極まる』
 高校を卒業し、東京で浪人生活を送り始めた真木の物語。
 予備校講師と同居することになった真木だったが…。

・『五月の鯉』
 真木、高校3年生のお話。
 天然の浦里と、いじらしい真木…さてどうなる!?

・『此の花咲く哉』
 「紺極まる」の後、大学に無事合格した真木と浦里の短編。


紺極まる BOOK

内容(「BOOK」データベースより)

「先生は真木のことを好きでしょう。
 なんとなく、そんな気がする」

―決して手に入らないものを希み続ける頑なな少年と
心を通わせようとする予備校教師、川野。

マンションの一室で同居することになった二人はすれ違い、
諍いあうが…。

瑞々しい長野まゆみワールド。




“希んでは不可ない。だけどほんとに欲しいものは_。”

長野まゆみが描く、哀しみさえも甘美な十代の日々。

「鳩の栖」では、いずれも中学生の少年が主人公で
「紺極まる」では、主人公が高校生、浪人時代、大学合格と
成長する過程を描いている。

少年のもつ硬質な存在感と
多感な少年期の、脆く儚い気持ちが静かに描かれた
美しい物語でした。






テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2014_06_23





長野まゆみさんの「新世界」シリーズ


とても不思議な世界観をもつ物語です。

本作「新世界」、SFファンタジーなのですが、
作者独特の造語?が
あらゆるところに散りばめられているので
ストーリーの細部を理解せずに読み進めることに…

ただ文体の流麗さが、先へ先へと導いてくれるので
5thまで読み終えることが出来ました^_^;

そうそう本書は、BLが苦手な方はスルーして下さいね。

長野作品のもつ特徴を全て注ぎ込んだ!?作品なので
『耽美的な作風、鉱石、機械、幻想世界だけに存在する少年、
そしてBL的表現、旧字体を多く用いた、流麗な文章。』等々…




「新世界1st」
新世界1st

内容(「BOOK」データベースより)
兄さん、ぼくはいつから独りなんだろう。
太陽(ソル)から2億3千万キロ離れた夏星(シアシン)。
謎の物質“ゼル”をめぐる闘いのなか、
“永い眼り人”はふたたび目醒めるか。
待望の巨篇・第一部。


(「MARC」データベースより)
"永い眠り人"であった彼らが
ふたたび目醒める時が訪れようとしていた…。
イオの手に残された謎の塊"ゼル"。
ゼルを狙う少年ハルとイオの兄シュイは
いったい何の目的で争うのか?




「新世界2nd」
新世界2nd

内容(「MARC」データベースより)
「小児病院からミンクという名の特殊な少年を連れ出せ。」
マザーワート植民政府からの指令通り、
収容施設に侵入したシュイを待ちうけるものは?
太陽から2億3万km離れた夏星で展開する、異世界物語。




「新世界3rd」
新世界3rd

内容(「BOOK」データベースより)
希んだら、あなたの手で殺してくれますか。
意識を回復したシュイの前にあらわれたミンク。
彼とイオとは別人なのか。


内容(「MARC」データベースより)
イオの放った紡錘(スピン)の直撃を受けて
意識を失ったシュイが目を醒ました時、
彼は何も覚えていなかった。
致命傷であった筈の傷も、なぜか消えうせていた。
死を望むシュイに、なぜ死を選ぶことは許されないのか?




「新世界4th」
新世界4th

内容(「MARC」データベースより)
もう二度とこのからだを「医療局」に使わせたりはしない…。
シュイの身代わりとなったジャウの運命は?
「母星化」を受けた種族とそうでない種族の行く先は?
最後の闘いがはじまる。




「新世界5th」
新世界5th

内容(「BOOK」データベースより)
ぼくは永いこと眠っていた、
目醒めるのを忘れるくらいに。
ついに完結。


内容(「MARC」データベースより)
シュイが躰の中へチュウブをさしこまれ目を醒ました頃、
ジャウは拘束されていた。
持ち出されたゼルは何処に?
ラシートの真の後継者は誰?
最後の闘いの中、いま"永い眠り人"が目を醒ます。



本書「新世界」シリーズを読んだのは、約12年前
なので…詳細な内容を覚えていなくて…

物語の世界に住む人は、両性を持つ?性を選べる?
独特の階級制度や、特異なジェんダーを持つ世界

そこで生まれたイオ、シュイ、ジャオ…
彼らの最後はどうなったのかな?
残念ながら覚えていない…
エンディングを確認するため、5thを再読しようかな

覚えているのは、不思議な物語だったな、ということだけなので^_^;

文体の美しさ、旧字体を使用するセンスに心惹かれた作品。
BL、OKですよ!と言う方
長野さんの流麗な文章の世界を、覗いて見ては如何でしょう!?





テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2014_06_22




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