長野まゆみさんの「新学期」


十七歳年上の兄と同居することになった史生

転校先で出会った椋と密。
病弱な密は、サナトリウムへ…

兄は明彦は、実は史生の父であった。

エピソード的には暗くなりがちな物語だけど
読後は、思いのほか爽やかだ。


史生が転校先で出会った風変わりな少年・椋
そして、椋の人柄に触れることで、次第に心通わせ

少しずつ大人になっていく史生

兄への反発も、実の父であったと不意に知らされたことへも
すべてを自然に受け入れていく。

少年たちの心の触れ合いが
史生、椋、密、それぞれの救いとなる_。


長野まゆみさんの静謐な世界
瑞々しく美しい文体に心洗われます。


新学期 BOOK

内容(「BOOK」データベースより)

17歳も年上の兄・朋彦に引き取られることになった史生。

兄が教師を勤める学校に転校した彼は、
そこで朋彦を慕う二人の少年に、
少々手荒な歓迎を受ける。

朋彦を自分だけの兄にしたいのだという彼らに、
次第に史生は心を通わせるようになって…

限られた時を生きる十四歳の少年たちの心の交流を描いた、
感動の名作。



長野ワールド、いと美しきかな





テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2014_05_29




長野まゆみさんの『凛一シリーズ』4冊を
 纏めて紹介したいと思います。


「上海少年」紹介の際にも少し触れましたが、
『凛一シリーズ』の4冊は、少年愛をテーマに描かれているので
BLが苦手な方はスルーして下さいね。

ただし、長野まゆみさんの作品は、
BLうんぬんよりも
文章表現、登場人物の心情表現の細やかさ
繊細な作風に魅力を感じられる作家さんです。

流麗な文章に惹かれました。


それでは
シリーズ1作目「白昼堂々」
2作目「碧空」
3作目「彼等」
完結編「若葉のころ」の順で
あらすじを紹介しますね。



「白昼堂々」
白昼堂々 BOOK

内容

1976年冬、由緒ある華道家元の、
若き後継ぎである 原丘凛一は、
従姉・省子の男友だちだった
アメリカンフットボール部のエース・氷川享介と出会う。

その邂逅が、やがて二人の運命を変えていくことに…。

冬から春、やがて夏へと移ろう季節の中で、
彼等の思いはどこへ向かうのか。

凛一の望は叶えられるのか。

少年達の切ない恋を描く。




「碧空」
碧空 BOOK

内容(「BOOK」データベースより)

高等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凛一は、
遠く京都の大学へ入学し
フットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、
ひとり過ごしていた。

そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、
凛一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。

有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凛一。

はなればなれになりながらも
お互いを求める少年たちの思いの行方は…。

好評シリーズ第二弾



「彼等」
彼等 BOOK


内容(「BOOK」データベースより)

東京で受験生としての日々を送る凛一。

京都の大学でフットボール部の主力選手として活躍する享介。

遠く離れていてもこの思いは伝わっているはず―
そう信じていた凛一だったが、
京都を訪れた折りに、享介の意外な姿を見てしまう…。

絡み合う周囲の人々の思惑、
行き違いやためらいをのりこえて、
ゆっくりと心は結ばれていく。

二度とない、ふたりの季節を描く、
好評シリーズ第三弾。




「若葉のころ」
若葉のころ BOOK


内容(「BOOK」データベースより)

京都の大学に進学し、二度目の春を迎えた凛一。

氷川と逢える平穏で幸福な日々がようやく訪れたかに思えたが、
三年ぶりに帰国した有沢が、
再び凛一の心に波紋を広げていくのだった。

そんなおり、
大学フットボール部の主将として活躍する氷川に関する情報を
外部に漏洩しているという疑いが凛一にかけられる。

ふたりはこのまま逢うことができなくなるのか…。
好評シリーズついに完結。



繊細な凛一の心情を、丁寧に描いているので
さらに凛一の切ない思いが伝わってくる。

登場人物ひとりびとりが魅力的で
自然に耽美的な世界へと導いてくれる
美しい純愛?物語でした。

BLが気にならない方
耽美的作風が好みの方には
お薦めの本です。






テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2014_04_23





長野まゆみさんの「ことばのブリキ罐」


本書は物語ではなく、長野さんの自家製辞書のような本です。

タイトル「ことばのブリキ罐」も素敵な響きですね。



ことばのブリキ罐ーBOOK

(以下「e-hon」より)

商品の内容

天体、色彩、鉱物、植物、玩具、乗り物…

言葉の標本箱から選りすぐった“原色少年字典”。



[目次]

少年の食べるもの
石のある風景
窓辺の風景
花ぬすびと
水紅いろのはなし
少年の名は
理科教室の中
三時のおやつ
遊園地
黄金の水辺
鉱石倶楽部
気象天文の図鑑
トイランド
卵から生れた少年



[出版社商品紹介]

螢星、十字石、鉱石ラヂオ…
長野まゆみワールドに煌めく言葉達の中から、
著者自身が選して解説しイラストをつけた究極のことば辞典。



「子どもの頃から辞書を読んだ。
 本の中の気に入った言葉を
 抜き書きをするのを好んでいた。
 それがいつか自家製の辞書となり
 近頃は創作に欠かせない資料となっている。」

長野さんの、言葉選びのセンスの良さは
そんなところに“秘密”があったのね
なるほどなるほど(^^)

「花ぬすびと」では、野ばらの説明があり
今ではよく知られているローズヒップが出てくる。
『野バラの実は漢方では利尿薬に
 西欧ではローズヒップとよび風邪薬にする』

「少年の名は②」では、頬白鳥(ほおじろ)の説明で
『小鳥と少年を結んだものとして強く印象に残るのは
 小学生の頃に読んだ、萩尾望都作「小鳥の巣」である。』
と記してあり、萩尾望都さん大好きの私としては
嬉しかったです(^^)

本作「ことばのブリキ罐」は、
長野さんの文章の美しさの謎を
ひも解いてくれる本でした。

タイトルの「罐」も旧漢字です!




 


テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2014_04_22





長野まゆみさんの「上海少年」


長野まゆみさんの本、かなりの冊数読んでいて
読書履歴を確認すると、あまりに多いので数えてみました。
なんと55冊読んでいます。
でもブログで紹介したのは「八月六日上々天気」1冊のみ。

今日は2冊目「上海少年」を紹介したいと思うのですが
何とも言葉にしづらい?面白さなんですよね^_^;


本書は短編連作集になっているので、まずは目次順に

『雪鹿子』-友人が亡くなってから八カ月。
      年明けまもない冬の日、
      三沢は未亡人と墓参へ出かけた。

『上海少年』-昭和二十四年、
       日本の港町で別れた人との再会を求め
       陸は今日も波止場へ向かう。

『満天星』-銀座の昭和通り。
      恩は、ある女に声をかけた。
      「母さん、母さんじゃありませんか」

『幕間』-路地の薄闇にたたずむ少年。
     道に迷ったという。
     橙子は横道まで案内しようと門の外へ…。

『白昼堂々』-凛が目覚めたのは、熱のひいた翌日の午後。
       その日は期末考査の追試試験だった。


「雪鹿子」は昭和初期、226事件前
「上海少年」は戦時中と、作品ごとに時代背景が
 少しずつ現代に向かっていく。
「幕間」では、学生運動が激しくなっていく時代。
「白昼堂々」では身代わり試験を受ける
 長閑な今の学生を描いている。



上海少年 BOOK

内容紹介(「集英社文庫」より)

兄さん、あの日の上海に還りたい―。

昭和24年、生き別れた兄の面影を追って、
今日もひとり波止場へ向かう少年・睦…。

懐かしく切ない時代を舞台に、
少年たちの運命と邂逅を詩情豊かに描く連作集。



長野作品、耽美的で魅惑的な小説や、
SF・ファンタジー等の幻想小説を主に描いており
特に最近では少年愛を多く描いているイメージが…
でも、本書「上海少年」では、昭和に生きる人々を
抒情的に描かれているので
BLのような長野作品が苦手な方でも比較的読みやすいのでは。

ただし五章の「白昼堂々」は、
凛一シリーズの始まりの作品なので少々BL的です。
その後、長編版の「白昼堂々」「碧空」「彼等」「若葉のころ」
へとシリーズ化されました。


長野さんの文体というか、流れるような文章表現が好みです。
旧字体をあえて使用したり、言葉の使い方が美しいんですよね。






テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2014_04_15





長野まゆみさんの「八月六日上々天気」です。

12年前の八月六日に読んだ本です。
当時の読書日記に残した私の言葉。



昭和十六年、女学生珠貴にとって、
少女の目を愉しませる贅沢品が消え、
友人が軍人の妻となってゆく時代が始まっていた。

珠貴自身も、従弟の担任教師である市岡と見合いし、
慌しく結婚する。

夫の突然の兵役志願。
そして夫の実家である広島への疎開。

暗い時代の流れの中、次々と消えてゆく人と風景、記憶。

ささやかな幸福を愉しむ時をも惜しむように、
時は昭和二十年を迎えていた。

そして八月六日…。

昭和二十年、運命の日、従姉弟は…。

「今日広島へ行ったら、そこで写真を撮るといいのよ。
 あそこの街は、まだ焼けてないんだもの…」




『8月6日の今日読んだ…。
 日常がある日突然切断されてしまう。
 この本は、その悲しみを伝えてくれる…。』 




正直、細かい内容は忘れてしまった部分もあるけど
史郎と珠貴の淡い恋心が描かれていたのは覚えていて
それがまた切ないですね。



八月六日上々天気 BOOK


内容(「BOOK」データベースより)

昭和二十年八月六日。

広島の空は雲ひとつない快晴だった…。

結婚、夫の出生、広島への疎開。

暗い時代に運ばれてゆく女学生珠貴と
その従弟の史郎の運命と、生活を色どる
ささやかな幸福を描く中編力作。



ふと、1988年に日本テレビで放送されたドラマ
「明日」を思い出しました。

8月8日、原爆投下前日の、長崎の人々の
平和な日常生活を描き、原爆投下の光で終わる。

大竹しのぶさんが演じていた出産直後の母と子
聖母マリアのような眼差しで我が子を見つめる母、
そこに眩しい光が二人を包み込む…。
そこでドラマは終わるのですが
その後を思うと涙が溢れ出て止まらなかったことを
今でも覚えています。

原爆の悲惨さを
日常を描くことで
伝えきったドラマでした。









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 2014_02_22




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