伊坂幸太郎さんの「残り全部バケーション」

人生、まだ、続いていくから。
裏稼業コンビ
「溝口」と「岡田」をめぐる全五章。
~「帯紙」より~


残り全部バケーション

人生の<小さな奇跡>の物語
夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。
ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として
〈岡田〉と名乗る男とドライブすることに──
第一章「残り全部バケーション」他、五章構成の連作集。




第一章「残り全部バケーション」
浮気をした父親のRHSにメールがきた
『適番でメールしてみました。友達になろうよ。
ドライブとか食事とか』
胡散臭いメールに、父は、母に命じられるがままに、
『友達になりましょう。こちらは、四十七歳の男です。
妻四十五歳、娘十六歳も一緒ですが、
それでもいいですか?』と返信を打った。

第二章「タキオン作戦」
『ああ、おまえやられちゃってるな、これ』
すぐ後ろから声がした。
え、と雄大は慌てて、振り返る。
大人の男がしゃがみ、シャツをめくって
雄大の背中を見ていたのだ。
『溝口さん、小学生相手に何やっているんですか。
服めくって。それ、まずいですよ』
『岡田、あのな、俺分かるんだよ。自分が子供の頃
親父に暴力振るわれていたからな。』

第三章「検問」
開いたトランクの中を見下す。
『さっきの検問の警察官、これ見なかったわけねえよな』
溝口は顎を触るようにし、首を捻った。
『これはまあ、明らかに、怪しいお金ですよね』
大田も、その巨大なゴム鞠にも似た身体を揺すり、言う。

第四章「小さな兵隊」
岡田君は問題児だ。クラスの女の子が言った。
岡田君が時折、びっくりすることをやるのは確かだ。
たとえばクラスの女の子のランドセル全部に
マジックで小さくいたずら書きをしようとしたり
学校の壁に青いペンキで長方形の模様を描いたり。
海外出張中のお父さんに電話で岡田君のことを話すと
アリババと盗賊のドアにバツ印をつける話から
『岡田君がやりたかったのはそれと同じかもしれないぞ』
お父さんの推理はすごい

第五章「飛べても8分」
当たり屋に失敗して怪我をした溝口の病院に
高田は毎日見舞いに来ており
その高田に常務が電話で
『一昨日、毒島さんが狙われた』
『毒島さんは無事だったんですか』
『いなかったからな』『どこにいたんですか』
『少し前から、毒島さんは、おまえが今いる、
その病院に入院してるんだよ』


伏線を張り巡らし一気に回収する
その爽快さは伊坂ワールドならではですね。
特に第五章「飛べても8分」は
どんでん返しのどんでん返し?
読後の余韻が心地良い。
でも第四章「小さな兵隊」が一番面白い!
岡田君に惚れてしまいました(^^)
岡田君にまたどこかで会いたいですね。




テーマ : 最近読んだ本    ジャンル : 本・雑誌
 2017_03_06




伊坂幸太郎さんの「サブマリン」


陣内さん、
僕たち、挽回できますか?

『チルドレン』から12年。
家裁調査官・陣内と武藤が出会う。
新たな「少年」たちと、罪と罰の物語。
~「帯紙より」~


サブマリン

~「帯紙」本文より~
「武藤、別におまえが頑張ったところで、
事件が起きる時は起きるし、起きないなら起きない。
そうだろ? いつもの仕事と一緒だ。
俺たちの頑張りとは無関係に、
少年は更生するし、駄目な時は駄目だ」
「でも」
うるせえなあ、と言いたげに陣内さんが顔をしかめた。
「だいたい陣内さん、頑張ってる時ってあるんですか?」
と僕は言ったが電車の走行音が激しくなったせいか、
聞こえていないようだった。




『チルドレン』から12年後の「サブマリン」でも
陣内や永瀬と優子のカップルに出会えました。
永瀬と優子が夫婦になっていてなんだか嬉しかったです(^^)
陣内の奇行や無神経さは相変わらずで
でもここぞと言う時の陣内の言葉や行動が奇蹟を起こす!?
「サブマリン」も心温まる物語でした。


『チルドレン』は5編からなる短編集でしたが
「サブマリン」は、交通事故を起こした少年や
脅迫文を送った少年の調査を担当している
武藤の視点で描かれている長編です。


上司の陣内に振り回されてばかりいる武藤は
脅迫文を送った小山田俊にまで振り回され
無免許で死亡事故を起こした棚丘佑真の
調査報告をどうするかでも悩んでいた
棚丘が事故を起こした現場で
武藤は盲導犬をつれた永瀬と出会う
永瀬も陣内に乗せられて事故現場を訪れていた
全ての事件に陣内が絡んでいる!
というか頭を突っ込んでいる!?


少年犯罪を扱った内容でしたが
陣内のキャラクターのお陰であまり重くならず
時には思わず笑ってしまったり、心にジーンとくる場面もありで
最後まで伊坂ワールドを楽しませてもらいました。
とても面白かったです。
『チルドレン』もう一度読もうかな?




テーマ : 最近読んだ本    ジャンル : 本・雑誌
 2017_02_15




伊坂幸太郎さんの「陽気なギャングは三つ数えろ」


絶体絶命のカウントダウン!

嘘を見抜く名人
天才スリ、演説の達人
精確な体内時計を持つ女――

史上最強の天才強盗4人組みに
強敵あらわる!

~「帯紙」より~



陽気なギャングは三つ数えろ

内容(背表紙より)

陽気なギャング一味の天才スリ久遠は、
消えたアイドル宝島沙耶を追う火尻を、暴漢から救う。
だが彼は、事件被害者のプライバシーをもネタにするハイエナ記者だった。

正体に気づかれたギャングたちの身辺で、
当たり屋、痴漢冤罪などのトラブルが頻発。
蛇蝎のごとき強敵の不気味な連続攻撃で、
人間嘘発見器成瀬ら面々は断崖に追いつめられた!

必死に火尻の急所を探る四人組に、
やがて絶体絶命のカウントダウンが!




目次を見ただけでも面白さが伝わります(^^)

第一章 
悪党たちは久々に銀行を襲い
小さな失敗をきっかけに
トラブルに巻き込まれる。いつものこと。
――おとなしくできないなら、
せめて気をつけてやれ。

第二章
悪党たちは降りかかる火の粉を払うため
何が起きているのかを探るが
払えば払うほど火の粉がまとわりつく。
――眠っている犬は
できるかぎり寝かせておけ。

第三章
悪党たちは事件の構図に気づくが
相手の後手に回る。
――1インチ与えれば1ヤード取られる。

第四章
悪党たちは別の悪党から逃れるために
必死に行動するが
予定通りに物事が進まない。
――計画を立てるのは人だが
成敗するのは天だ。


陽気なギャング一味のいつもの4人
ホントいいキャラしています。

相手の嘘を見抜ける、公務員の成瀬
言葉を自由自在に操る演説の名人、喫茶店主の響野
人間以外の生き物が大好きな、天才スリの久遠
正確な体内時計を持つ、天才ドライバー雪子


たまたまホテルで鉢合わせしたことで
ハイエナ記者・火尻につけ狙われることになった久遠

久遠の回りをしつこく嗅ぎまわる火尻に
成瀬、雪子の弱みまで握ぎられてしまう…


個性豊かな登場人物描写
スピーディーなストーリー展開
散らばるピースのラストでの回収など
伊坂節満載でホント面白かったです!




テーマ : 最近読んだ本    ジャンル : 本・雑誌
 2016_08_10




伊坂幸太郎さんの「死神の浮力」


死神の千葉を長編で読める日が来た!

おまえはまだ死なない。
俺がついているから。

~「帯紙」より~


死神の浮力 BOOK

内容紹介(「Book Live」より)

おまえはまだ死なない。俺がついているから――。
映画化もされたベストセラー『死神の精度』の「千葉」が
8年ぶりに帰ってきました! 
しかも今回は長篇、冒頭の一部を除いてすべて書き下ろしです。

7日のあいだ対象の人間を観察し、「可」か「見送り」を判定。
「可」の場合8日目にその人間の最期を見届ける……。
人間界でひっそりとこんな仕事をしている死神の千葉。
クールでとぼけた彼のちょっとテンポのずれた会話と、
誠実な仕事ぶりをたっぷりお楽しみください。





舞台版「死神の浮力」


死神の浮力 舞台

伊坂幸太郎の小説「死神の浮力」(文藝春秋刊)が原作。
娘を殺害された小説家・山野辺夫妻と
対象の人間を1週間調査しその死に判定を下す
死神(千葉)との交流をベースに、
良心を持たない殺害犯・本城崇への復讐劇が描かれている。


(CAST)
山野辺遼⇒福井晶一さん
死神(千葉)⇒ふかわりょうさん
山野辺美樹⇒MEGUMIさん
本城崇⇒牧田哲也さん

脚本・演出⇒和田憲明さん


2014年4月22日~28日(本多劇場)にて上演されました




『死神の精度』をだいぶ前に読み
ちょっとずれた死神・千葉の
面白味に嵌まってしまったので
本作を読むのもとても楽しみでしたが
期待以上でしたね

千葉の発した言葉に思わず笑ってしまう
シリアスで危機迫る状況であればあるほど
何気ない千葉の一言は笑いのツボを外さない!

本作は娘を殺された山野辺夫妻が
犯人・本城に復讐を企てる話し
救いのない悲しい物語なのですが
千葉が絡むことで緊迫感が弛んでいく?


前作『死神の精度』も紹介しますね(^_-)-☆



死神の精度 BOOK

内容(「BOOK」データベースより)

CDショップに入りびたり
苗字が町や市の名前であり
受け答えが微妙にずれていて
素手で他人に触ろうとしない
そんな人物が身近に現れたら
死神かもしれません。

一週間の調査ののち
対象者の死に可否の判断をくだし
翌八日目に死は実行される。



『死神の精度』
『死神と藤田』
『吹雪に死神』
『恋愛で死神』
『旅路を死神』
『死神対老女』

死神・千葉が出会う六つの人生。





映画版『死神の精度』


死神の精度 MOVIE

内容(「映画.com」より)

音楽好きの死神・千葉は強烈な雨男で、
彼が人間界に現れるときはいつも雨。
彼の仕事は、7日後に死ぬ予定の人間に近づき、
“実行=死”か“見送り=生かす”かを判定すること。

ある時、1985年の東京に現れた千葉は、
次のターゲットとなる薄幸の女性、
藤木一恵に近づき観察を始めるが、
判定を下す7日目、彼女に思いがけない運命が訪れる。


2008年に金城武さん主演で映画化。
共演は小西真奈美さん、富司純子さん、石田卓也さん(他)


舞台「死神の浮力」と映画『死神の精度』は観ていません。
映画は機会があれば観てみたいですね。
TVで放送しないかしら!?








テーマ : 最近見た映画    ジャンル : 映画
 2016_03_12




伊坂幸太郎さんの「首折り男のための協奏曲」


殺し屋の事情、黒澤の窮地、クワガタの憂鬱―

首折り男は首を折り、
探偵は物を盗み、
小説家は物語を紡ぎ、
あなたは―、この本を貪り読む!

「首折り男」に度肝を抜かれ、
「初恋」に惑って「怪談」に震え、
「昆虫」は覗き見され、「合コン」では泣き笑い。
「悪意」が黒澤を襲い、父は子のため「復讐者」となる―

全7編、胸元えぐる豪速球から消える魔球まで
出し惜しみなく投じられた「ネタ」のアンサンブル!

技巧と趣向の奇跡的な融合
          ~「帯紙」より~



首折り男のための協奏曲

内容(「BOOK」データベースより)

「首折り男」に度肝を抜かれ、「初恋」に惑って「怪談」に震え、
「昆虫」は覗き見され、「合コン」では泣き笑い。

「悪意」が黒澤を襲い、父は子のため「復讐者」となる―
全7編、胸元えぐる豪速球から消える魔球まで
出し惜しみなく投じられた「ネタ」のアンサンブル!



『首折り男の周辺』
『濡れ衣の話』
『僕の舟』
『人間らしく』
『月曜日から逃げろ』
『相談役の話』
『合コンの話』

以上の7つの短編からなる本書ですが
7つの物語を1冊の本に纏めた経緯が本編の最後に記されていました。

『この本は、いくつかの雑誌のために書いた短編をまとめたものです。
それぞれ、「恋愛ものを」であるとか、「怪談話を」であるとか
そういった依頼に合わせ書いていったものなので
一つにまとめることは念頭になかったのですが、
改めて並べ直し、手を加えていくと、
緩やかに繋がりができ、「首折り男なる人物の話であったものが、
いつの間にか黒澤という泥棒の話に変化していき、
それがまた首折り男に繋がり」という不思議な本になりました。・・・略』
―伊坂さんの言葉を抜粋・引用―

なるほど・・・いつもの伊坂作品とは趣向が違い
パズルのピースを当て嵌めるような
かっちりとした纏め方になっていなかったのも納得

連作のようで連作でない?つかみどころのない不思議な物語
でも何となく惹きつけられてしまい頁を捲る手が止まらず
結局一気読みしてしまいました(^_-)-☆




テーマ : 最近読んだ本    ジャンル : 本・雑誌
 2016_02_06




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