恩田陸さんの「土曜日は灰色の馬」



『顔は見えないけれど
 おはなしの神様は
 確かにいる__』


『小説は作りものだし、
 読者の苦しみを肩代わりはできない。
 だが、私たちにそっと寄り添って、
 私たちが一人っきりではないことを
 今も教えてくれているのだ。
…本文より
               -帯紙よりー


恩田さんの小説は、ジャンルに関係なく
エンディングがはっきりとしない終わり方?の
作品が多いのですが
(今まで私が読んだ恩田作品は、ほとんどそうかも!?)
本書の中で、そのことにも触れていましたよ


『説明したり理由を考えたりするよりは、
 現象の醸し出すざわざわ感や
 得体のしれぬ宙ぶらりんの感覚を描くことが目的であり、
 原因と結果よりは過程と雰囲気が大事。
 「怖さ」そのものよりも、「怖さ」の一歩手前の 
 不穏な空気感を描きたいのだ。』

以上の言葉は、
ジャック・フィニイを紹介している「空豆の呪い」の中で
自信のサスペンス感覚はフィニイに近いような気がする。
というくだりで語っている文の抜粋です。

なるほど…納得。



土曜日は灰色の馬

内容紹介(「晶文社」より)

ホラー、SF、ミステリーなど、
さまざまなジャンルの物語を書き分け、
多くの読者を魅了し続ける小説家・恩田陸

汲めども尽きぬ物語の源泉はいったいどこにあるのだろうか? 

ブラッドベリにビートルズ、松本清張や三島由紀夫まで、
恩田さんが大好きな本・映画・漫画などを奔放に語る、
ヴァラエティに富んだエッセイ集。




本書を読んだことで、なぜ私が恩田作品に惹かれるのか
少しだけ分かったような気がします。

恩田さんが少女時代に読んでいた小説や漫画が
私の読書(漫画)履歴と重なっている!?

恩田さんの膨大な読書量と私の読書量を
到底比べることはできないので
ほんの一部の趣向が重なっていただけなのですが…^_^;

萩尾望都さんやレイ・ブラッドベリに傾倒しているところ等
ホント共感できました。

本書では、本以外にも映画の紹介もあり
最後までとても興味深く読むことができたエッセイ集です。





テーマ : 最近読んだ本    ジャンル : 本・雑誌
 2015_03_21




恩田陸さんの「月の裏側」



恩田さんのホラーは、じわじわとくる怖さというのか
恐怖とい名の氷で、するりと首を撫でられたような?
そんなゾクットする不気味な物語

でもどこか懐かしく郷愁を感じさせられる…
たんなるホラー小説では終わらない!?

“郷愁の傑作ホラー”と帯に記してあるのも頷けます。



月の裏側

内容(「BOOK」データベースより)

九州の水郷都市・箭納倉。

ここで三件の失踪事件が相次いだ。

消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、
不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、
記憶を喪失したまま。

まさか宇宙人による誘拐か、
新興宗教による洗脳か、それとも?

事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは
“人間もどき”の存在に気づく…。




ずいぶん昔にみたアメリカ映画
『SF/ボディ・スナッチャー』を思い出しました。


何者かに、しらずしらずのうちに浸食されていく恐怖
周りの誰もが信じられず追い込まれていく…

本書では水が媒体していました
だから余計に怖くて
水無しじゃ生きていけませんものね…^_^;




テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2015_02_03




恩田陸さんの「麦の海に沈む果実」


水野理瀬シリーズ『黄昏の百合の骨』を先にUPしたので
紹介が前後してしまいましたが…^_^;


本書「麦の海に沈む果実」を読んでいると
萩尾望都さんの「小鳥の巣」を思い浮かべてしまう。
内容はまるで違うのですが
物語に流れる空気が似ているんですよね。

恩田作品の、この空気感に嵌まってしまったので
幻想的でミステリアスな恩田ワールドを
最後の頁まで存分に楽しむことができました。



麦の海に沈む果実

内容(「BOOK」データベースより)

三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。

二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。

閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。

生徒を集め交霊会を開く校長。

図書館から消えたいわくつきの本。

理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?

この世の「不思議」でいっぱいの物語。





そうだ、あの詩のことがあった
作者不詳の図書館の百科事典に挟んであった詩。
…中略

『麦の海に沈む果実』

わたしが少女だったころ、
わたしたちは灰色の海に浮かぶ果実だった。

わたしが少年であったころ、
わたしたちは幕間のような暗い波間に声もなく漂っていた。

開かれた窓には、雲と地平線のあいだの梯子を登っていく
わたしたちが見える。
麦の海に溺れるわたしたちの魂が。

海より帰りて船人は、
再び陸(おか)で時の花びらに涼む。

海より帰りて船人は、
再び宙(そら)で時の花びらを散らす。

              ~序章より抜粋~


冒頭の始まり方も、お洒落で
一気に物語の世界へと惹き込まれていきました。


水野理瀬シリーズ、下記の順に読んでしまったので

1『図書室の海~睡蓮』…2002年
2『黄昏の百合の骨』…2004年
3『三月は深き紅の淵を』…1997年
4「麦の海に沈む果実」…2000年
5『朝日のようにさわやかに~水晶の夜、翡翠の朝』…2013年
水晶の夜、翡翠の朝は『殺人鬼の放課後』にも収録…2002年

今度長い休みの時にでも?出版順に再読したいですね(^^)





テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2015_02_02




恩田陸さんの「黄昏の百合の骨」



「黄昏の百合の骨」装丁&挿絵がとても素敵で
その上、目次も詩的でお洒落ですよ。


ー目次ー
   ある独白
Ⅰ章 蕾と雨
Ⅱ章 花と風
Ⅲ章 棘と蛇
Ⅳ章 種と鳥
Ⅴ章 灰と海


本書「黄昏の百合の骨」は
『麦の海に沈む果実』の主人公・水野理瀬のその後の物語




黄昏の百合の骨

内容(「BOOK」データベースより)

「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り
 家は処分してはならない」

亡き祖母の奇妙な遺言に従い、
「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた…。

華麗なる恩田ミステリー。




ミステリアスな水野理瀬シリーズ
どの作品も、かなり面白いです(^^)

未読の方で興味をもたれた方は
『麦の海に沈む果実』と『図書室の海:睡蓮』を
先に読まれた方が、本作をより楽しめると思います。

そして『三月は深き紅の淵を』や
『青に捧げる悪夢:水晶の夜、翡翠の朝』にも
理瀬のエピソードがあるので、
こちらの2作品もお薦めですよ(^_-)-☆




テーマ : 読んだ本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2015_01_25




恩田陸さんの「不安な童話」


恩田さんの初期の頃の作品ですが
恩田ワールドはその頃から変わらないです。


「語られざるもの」の余韻を残したまま、最後の頁が閉じられる
突き放された読者が味わう奇妙な宙吊りの感覚こそ
おそらくはミステリというジャンルに対する
恩田陸流のエレガントな回答なのだろう。
              ~あとがきより~

大森望さんの解説を読んで、“正しく”と唸ってしまった!

確かに恩田作品は奇妙な幕引きが多いです。
後は好きなように解釈してと突き放される感じ!?
そこが恩田ワールドのお面白いところで
私はその宙吊り感が好きですね(^_-)-☆


不安な童話


内容(「BOOK」データベースより)

私は知っている、このハサミで刺し殺されるのだ―。

強烈な既視感に襲われ、
女流画家・高槻倫子の遺作展で意識を失った古橋万由子。

彼女はその息子から
「25年前に殺された母の生まれ変わり」と告げられる。

時に、溢れるように広がる他人の記憶。

そして発見される倫子の遺書、
そこに隠されたメッセージとは…。

犯人は誰なのか、その謎が明らかになる時、
禁断の事実が浮かび上がる。




ー目次ー

プロローグ

第一章 遠い海への道のりは、
      ある日、突然に始まる

第二章 海に向かう道は、
      長くれじれている

第三章 すべての道が、海に、
      つながっているように見える

第四章 中には、海を見ずに
       終わる者もいる

第五章 海に続く道

エピローグ



本作「不安な童話」では、輪廻転生を扱っているのですが
思いのほかエレガントなホラーミステリになっていました。

恩田さんの作品のわりには
スッキリと事件が解決したので
“これで終わるの?”と思っていたら
最後に仕掛けがありましたね。




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 2015_01_23




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